司法書士法人みずほ総合法務事務所|岐阜・愛知・三重
相続財産については、相続開始(被相続人の死亡)と同時に、いったん相続人全員による遺産の共同所有という法律関係が生じます。例えば、被相続人である夫が死亡すると、その死亡と同時に、夫の遺産は妻と子供の共同所有という法律関係が生じます。しかし、それはあくまで暫定的、過渡的な形態に過ぎず、最終的には、個々の相続財産を、共同相続人にそれぞれ配分され、各共同相続人の単独所有に移行します。
そのための法的な手続のことを遺産分割といいます。
相続人が2人以上いる場合は、相続財産を分けることになります。
相続財産が全部現金や預金であれば割合どおりに分ければいいので簡単ですが、実際には土地や建物があったり宝石類や絵画があったりと、そのまま物理的に分割できないもののほうが多いので、そう単純にはいきません。
これらの評価額は時に変わることもありえますし、仮に評価が一致したとしても、相続分の数字どおりにきれいに分けられない場合があります。
分割の方法には以下の3つがあります。
遺産分割はいつまでにしなければならない、という決まりはありません。
しかし、亡くなった人(被相続人)の有効な遺言がない限り、被相続人の死亡と同時に、その遺産は遺産分割協議が終わるまでは、相続人全員で共有している形になります。
このままですと、相続人がその遺産を自由に使用したり処分することができません。
そこで、個々の財産を各相続人の所有とするためには、「遺産の分割」をして名義を変える手続が必要となります。尚、共同相続人はいつでも協議(相続人全員による話し合い)による分割を求めることができます。遺産分割の内容は、相続人全員の合意があれば、必ずしも法定相続分どおりにする必要はありません。亡くなった方のお気持ちを考えながら、相続人同士が思いやりをもって話し合いを進めてください。
そして、話し合いがうまくまとまれば、その内容はどんなものでも構いませんが、遺産分割協議は必ず相続人全員で行わなければなりません。
参加すべき相続人を除外して遺産分割協議がなされた場合などは、無効になりますのでご注意ください。
相続人に未成年者がいる場合
遺産分割協議を行う際に、相続人の中に未成年がいるときがあります。
その場合、未成年者は法律行為に関しては無能力者であるため、法定代理人(親権者・後見人)が未成年者を代理して遺産分割協議を行う必要があります。
しかし、例えば、父親が死亡し、その相続人が母と未成年の子のであるとき、未成年者の法定代理人は、通常親権者である母ですが、母と未成年の子は遺産の分割について利益が相反してしまいます。
その場合は、未成年の子の代理人として第三者の特別代理人の選任が必要となります。
なお、特別代理人の選任手続は、家庭裁判所への申し立てをすることになります。
遺産分割協議において、利益が相反するその他の例
相続人の中に行方不明者がいる場合
相続人の中に音信不通で所在不明あったり、生死不明である人がいる場合があります。
その場合には、次の2つが考えられます。
不在者財産管理人は、不在者の財産を維持・管理する権限を有するのみですから、遺産分割協議に同意するためには、さらに家庭裁判所の許可が必要になります。
次に、相続人の生死が7年間不明のときには、親族等利害関係人は家庭裁判所に申し立てて、失踪宣告の審判をしてもらうことができます。審判があると、失踪した人は、不明になってから7年経過したときに死亡したものとみなされます。この死亡したとみなされた人の相続人を加えて、遺産分割協議をすることとなります。
なお、被相続人の亡くなる前に死亡したとみなされれば、代襲相続人と遺産 分割協議をすることになります。
あるいは、被相続人の亡くなった後に死亡したものとみなされる場合は、失踪した人がいったん相続した後に、失踪した人について相続が発生することになります。